014年〜2017年にかけて『Kiss』で連載されていた 『東京タラレバ娘』 (Kissコミックス)(東村アキコ作)は、2017年にドラマ化もされた人気作です。
私自身は、連載が始まった当初に同僚から勧められて読み、「Glee(アメリカのドラマ)ばっかり観ている」というセリフに、「私のことだ……」と思い、ハマってしまい、新刊が出るとすぐに買いに走っていました。
『東京タラレバ娘』とは?アラサーで独身・女の子気分であることは罪?
『東京タラレバ娘』は、33歳の女性3人の恋愛模様と、結婚への焦りが、テンポよく描かれているギャグ漫画です。
三者三様に「この男性を逃したら一生独身かも」と焦ったり、元彼の浮気相手になってしまったり、既婚者の男性を好きになってしまったり、と、恋愛面でもがき苦しみます。
この漫画のひとつの特徴は、序盤、容赦なく「アラサーで独身」であること、「女性だけでつるみ、飲んで、盛り上がる」こと、「いつまでも女の子気分でいる」こと、を責め立ててくるところです。
一例を挙げると、
「30過ぎたら女は愛するよりも愛される幸せを選ぶ(べき)」
「タラレバばかり言ってたら、こんな歳になってしまった。そしてどうやら、私達にはもう時間がないらしい」
「これがラストチャンスかもしれない。もし彼を逃したらお前は一生独身だ」
「オレに言わせりゃ、あんたらのそれは女子会じゃなくてただの、行き遅れ女の井戸端会議」
「酔って転んで男に抱えて貰うのは25歳まで。もう女の子じゃないんだよ、おたくら」
などといった辛辣なセリフを登場人物たちは口にします。
タラレバ娘が最後に選んだのは、安定・世間体ではなく、愛と友情
最初の数巻は、あまりにもメインの登場人物たちが、「アラサー独身女性には時間がない」「結婚しなければ孤独な人生になる」という価値観を内面化しているため、「この漫画は自分には合わない」と感じて脱落してく方も多いかと思います。
ですが、最終巻まで読んで感じたのは、この漫画が本当に伝えたかったことは、「アラサー独身女性には時間がない」「結婚しなければ孤独な人生になる」ということではなく、逆に、「そういった価値観を内面化して焦るのは、やめよう」というメッセージだったのではないか、ということです。
なぜなら、結局のところ、主人公を含めたメインの登場人物である3人の女性は、最終巻まで結婚という道を選んではいないからです。主人公の倫子は、幸せな家庭が築ける可能性の高い真面目な同年代の男性・早坂さんとの同棲を断り、7歳年下のモデル・KEYを選びます。
タラレバ娘たちが最終的に選んだのは、友達との時間や自分が好きになれる人との恋愛であって、焦りからの結婚や世間体に合わせて自分を変えることではなかったのです。
名作ヒロインに学ぶ♡幸せ女子になるヒント5 :「結婚しなければ」「時間がない」と焦らなくていい
「友達はみんな結婚しているし私だけ取り残された感じ」
「年齢を重ねるとモテなくなりそうで怖い。早く相手を見つけねば」
と焦る人はいるでしょう。
世の中には、「女性は若い方がより価値がある」「結婚して子供をふたり産み育てるのが女性の幸せの形」だと信じている男女もいます。でも、自分自身がそういった価値観を内面化してしまう必要はどこにもありません。
焦りから行動をしようとしている場合は、一度自分の心に、「本当に私はそうしたいのか。誰かから言われたことを鵜呑みにしているだけでは」と問いかけてみる必要があるでしょう。
「しなければならない」ことなんてほとんどありませんし、「これが幸せ」という幸せの形も時代や個人によって異なります。「しなければならない」「時間がない」と焦りそうになったときこそ、立ち止まって、「自分にとっての幸せとは何か」を考えてみる必要があるのではないでしょうか。
【PROFILE 今来今/Imakita Kon】
映画・舞台・漫画が好きなフリーライター。映画評・書評・恋愛コラムを執筆中。