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『ハッピー・マニア』の続編が怖い!恋愛だけに打ち込んできた若い女の子が、45歳になったらどうなる?

ハッピー・マニアは、月刊誌『FEEL YOUNG』に連載されていた安野モヨコ先生の漫画で、1998年にはドラマ化もされた人気作品です。

今回の連載【名作ヒロインに学ぶ♡幸せ女子になるヒント】は、『ハッピー・マニア』を参照しながら、幸せ女子になるヒントを探っていきたいと思います。

『ハッピー・マニア』の何がすごかったのか

『ハッピー・マニア』は、連載当時かなり革新的な作品でした。

主人公は理想の恋人を求めて、痛い目を見ながら突っ走り続ける女・重田加代子(通称:シゲカヨ)。数々の男性と関係を持ち、失敗しては親友のフクちゃんに泣きつく、というのがお決まりのパターンです。

最終巻では、自分のことを愛し続けてくれた真面目だけどイケてない書店員・タカハシの魅力に気がつき、結婚することを決意します。

通常の恋愛漫画であれば、「なんだかんだあったけど、最後には幸せな結婚ができてハッピーエンド。これで、ハッピーを追求するシゲカヨの旅は終わった」となりそうなものですが、『ハッピー・マニア』は一歩先のラストを提示しています。

ラスト、ウエディングドレスに身を包んだシゲカヨは悩み続けます。

「なんでだ? あたし、なんでここにいるのかな。ウエディングドレスとか着ちゃって、何をしようとしているのか。何になるの? 何をしたいの? どーすんの? あー。。彼氏欲しい。彼氏欲しい!! ふるえるほどのしあわせって、どこにあるんだろう。これからも、それを探して行くのかな」(第11巻 P.218〜P.222)

自分の幸せは何なのか、それが分からずに、世間の考える幸せの形を試してみようとする、そういった複雑な女性心理をギャグ要素たっぷりに描き、笑い飛ばしながらも、どこか他人事ではないように感じさせてくれる、『ハッピー・マニア』は、そういった迫力のある漫画だったのです。

恋愛だけに打ち込んできた若い女の子が、45歳になったらどうなる?

ところで、数々の恋愛を繰り返し、職も転々としていたシゲカヨが、タカハシと結婚しとりあえず落ち着いたように見えたのは20代後半のことでした。

「幸せ探し」「自分探し」は20代までならかっこもつきますが、年齢が上昇すると同時に、イタさが増してきがちです。

去年(2017年)『FEEL YOUNG』上に掲載されていた、『ハッピー・マニア』の続編を読んだ時には、シゲカヨの痛々しさを正視するのがキツイほどでした。

続編では、シゲカヨは45歳。タカハシに「好きな人ができた」と離婚を切り出されます。シゲカヨは、40代にして、いきなりバツイチ無職になってしまう可能性がでてきてしまったのです。離婚を突きつけられたシゲカヨは、親友フクちゃんに泣きつきます。

タカハシは以前別の女性と結婚しており、シゲカヨとの結婚はいわゆる略奪婚。過去には同僚から略奪婚を責められ「自分が結婚して相手が他の女に走っても、当然文句言わねーんだ。かっこいいー」と責められ、「ま、まあね。(だって、恋は自由競争で、他に好きな人ができちゃったらどうにもならないから)」と割り切った考えを持っているように見えたシゲカヨでしたが、自分の身に実際に起こるとなると、やはり平静を保つことができなかったようです。

タカハシに離婚を突きつけられたのが、シゲカヨが20代後半のときだったら笑いながら次の恋のハンティングに出かけていたことでしょう。でも、40代半ばのシゲカヨに次の恋をハンティングするバイタリティが残っているかは疑問です。

また、もっと切実な問題として、離婚後、経済的に苦しくなる可能性が多いにある、という点が挙げられます。20代なら、いくらでもアルバイト先はあったでしょう。シゲカヨはこれまでに、カフェ店員や書店員、美容部員など様々な就業経験があります。でも、40代半ばともなれば、仕事先のチョイスはかなり狭まってしまいます。

「ふるえるほどの幸せ」を求め、恋愛至上主義で生きていた女性が、恋愛を失った後には何も残っていなかった、という危険性があることを『ハッピー・マニア』の続編は示唆しています。

名作ヒロインに学ぶ♡幸せ女子になるヒント4: 恋人・夫がいても友達・経済力は必要

『ハッピー・マニア』の続編はまだ完結しておらず、今後シゲカヨがどういった形で幸せを追求していくのかは分かりません。

ただ、ひとつ確かなのは、もしシゲカヨに親友、フクちゃんの存在がなかったら、笑えないほど孤独になっていただろう、ということ。それにもうひとつ、シゲカヨに仕事・経済力があれば、「離婚→無職」「ふられた→貧困」になる、といった事態は避けられたということです。

『ハッピー・マニア』の続編を読んだときに怖いと感じるのは、「年齢を重ねた先に、恋愛や夫しかよりどころがないという状態のリスク」「若さや恋愛によってもたらされる幸福の儚さ」をまざまざと見せつけられるからでしょう。

「年齢を重ねたあとに、自分には何も残っていなかった」というリスクを避けるためにも、家族や友達を大切にし、自分でも経済力を持っておくことが必要ではないか、と思わされる作品でした。



【PROFILE   今来今/Imakita Kon】

映画・舞台・漫画が好きなフリーライター。映画評・書評・恋愛コラムを執筆中。

https://twitter.com/imakitakon



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